続・外国人観光客向けに何を翻訳したら良いのか迷いませんか?

前回もお伝えしましたが、インバウンド需要は回復を見せています。街を歩けば、スーツケースを持った外国人をよく見かけますし、海外の言葉が飛び交っています。日本政府観光局のサイトを見ると2023年5月の訪日外国人は、ベトナム、中国、韓国、インドネシア、アメリカ、フィリピン…の順番になっています。その後の順位を見ても東南アジアの方の訪日が増えています。この情報だけ見ますと、ベトナム語(キン語)に翻訳するのが集客にとって一番良いのでは無いかと考えてしまいそうですが、ベトナムの第二言語は英語ですので、英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語に翻訳をしておけば問題はありません。今回は前回の続きを紹介していきます。

まずは前回のブログを読んでみて下さい。それでは前回の続きを

翻訳をし過ぎない

親切丁寧だと考えてどんな事でも翻訳しすぎてしまうのも良くはありません。例えばトイレですが、「トイレはこちら」と書いてあるとします。その文章は英語だけ翻訳してあれば充分です。訪日者数が多いからといって、中国語や韓国語まで同じ看板に書いてしますと、それぞれの文字は小さくなりますし、ゴチャゴチャとしてしまいます。世界共通で分かることは英語のみで大丈夫でしょう。

新幹線の券売機でもそれを感じたことがあります。みどりの窓口の列が外まで並んでいるのを見たことがありませんか?例えば、東京から大阪の心斎橋に行くとします。新幹線切符を買う時に大阪駅を選びますと、「大阪まで」と「その他の駅まで」と表示され、その他の駅で「心斎橋」を探しても表示されません。「心斎橋」は在来線(JR線)ではないので、新幹線切符を買う時に「心斎橋」を選ぶことが出来ないのです。

日本人でも知らない街のその駅がJRなのかどうかわからない事があるのに、外国人観光客にはもっと分かりづらいでしょう。その為に何度も日本を訪れている外国人であっても新幹線の切符を券売機ではなく窓口で切符を買うことが多いのです。この問題をどう解決すればいいのか私には今思いつきません。この問題が解消出来れば、窓口の混雑も少しは解消され、すぐに新幹線に乗って移動したい外国人の方も券売機で購入して楽に旅行をすることができることでしょう。せっかく日本を訪れたのに、切符を買うのに何十分もかけるのはもったいないことです。

敢えてローマ字表記にする

とあるお好み焼き屋さんで見かけたテント看板(日除け屋根の看板)に「創業○○年 店舗名 お好み焼き」と日本語で書いてありました。その下に韓国語で「創業○○年 店舗名 チヂミ」と記載されていました。店主の方は訪日韓国人にわかりやすいように「チヂミ」としたのだと思います。もしくは翻訳した人がお好み焼きとチヂミは似ていると思い、チヂミと訳したのかも知れません。ちょっと考えてみてください。

数日から1週間程度の旅行で訪れた日本で「チヂミ」と書かれたお店に行くでしょうか?韓国で食べられるものを日本で食べることはほぼありません。私であれば韓国に行って「お好み焼き」と書かれているお店には行きません。分かり易いようにお好み焼きをチヂミと表記したのかも知れませんが、ローマ字表記で「OKONOMIYAKI」と書いた方がお好み焼きを食べたいと思っている人にアピールとなりますし、お好み焼きを知らない人は何だろうと気になると思います。敢えて料理名、商品名を翻訳しないことでアピールでき、需要を取り込むことができます。

特定の商品だけ翻訳しアピールする

たまごサンド、メロンパンなど外国人に人気のある商品だけを翻訳するのも良いでしょう。「冷やし中華はじめました」ではありませんが、パン屋さんで「たまごサンドあります」と翻訳したものを表に貼り出しておくのも良いと思います。

また、メロンパンはフランスの人に人気だと聞いたことがあります。例えばメロンパン専門店で「訪日フランス人がハマるメロンパン」などフランス語で記載して特定の国籍の人にアピールするのも良いと思います。外国人が多く訪れる地域のクレープ屋さんなら、外国人が選ぶクレープベスト5を貼り出しておくのも良いでしょう。

特定の商品だけ翻訳すれば翻訳量も少なく、安い料金でアピール可能なのです。よくお客様を観察したり、SNSなどを調べれば、ベトナム人に人気の食べ物、中国人に人気の食べ物、韓国人に人気の食べ物などが分かってくるはずです。特にベトナム語で「ベトナム人観光客に人気の○○」なんて書いてあったら、訪日数1位のベトナム人観光客の目を引くことでしょう。

翻訳したものをどのように表示するか

大手の飲食店などは、タッチパネルやタブレット、外国語メニューなどを用意しています。お金のある企業はそれでも良いと思います。外国語メニューを数部だけ作るのはコストが掛かってしまいますし、商品の入れ替えをした際に作り直さなければならなくなります。では中小の企業はどうすれば良いのでしょうか?思い切って手書きのメニューでも良いと思います。蕎麦屋さんやメニュー数がそれほど多くないところであれば手書きで書くことでおもてなしの気持ちを表すことが出来ます。

ホームページをもっているのであれば、外国語メニュー、タッチパネルの使い方、注文の仕方、回転寿司であれば自分が注文した商品の受け取り方、本日のおすすめ、アレルギー表示などのページを作ることをおすすめします。メニューが変わった時の修正も簡単ですし、印刷する必要もありません。

これらのページを日本の発明であるQRコードを店頭や屋外から見える窓、メニューの最初のページに貼り付けたり、各テーブルに置いておくだけで、観光客自身がQRコードを読み込み、内容を理解してくれます。

ここで注意しなければならないのが、QRコードだけ貼るのではなく、QRコードの下に英語でメニューと書く、韓国語でタッチパネルの使い方、中国語で注文方法などと書いておくことが大切です。QRコードだけでは、何のQRコードかが分かりませんので、そのQ Rコードが何を意味するのか、教えてくれるのかを表示するようにしましょう。店舗の面にメニューを出しているお店は、そこにもQRコードを付けるのが良いですね。

  

ご自身の店舗、商品をどのような翻訳をすれば良いのか迷っていましたら、外出した時、電車に乗る時、飲食店に入った時、自身のお店に外国人観光客が来た時などにどんな事で困っているのかを観察し、その問題を自身の店舗でどう解消してあげられるかを考えて翻訳する文章を作るのが良いと思います。何でもかんでも翻訳すると分かりづらくなってしまうだけではなく、翻訳料金も高くなってしまいます。自身の店舗、自身の商品に合った文章を取捨選択して翻訳すべきものは翻訳するようにしましょう。

コロナ前の訪日外国人数になるのは8月だと言われています。2019年の8月の日本訪問者数は252万人です。今年はこの252万人を上回る予想となっています、2022年の京都府の人口が255万人です。一月で京都府の人口と同じ外国人が日本に訪れているのです。これだけの人数相手にビジネスチャンスがあるのですから、翻訳など対応できる準備をしておくことはとても大切だと思います。

  

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