上手な文章を書く翻訳家になるために必要なこと

語学力を活かせる職業に就きたいと、翻訳家を志す人もいらっしゃるでしょう。翻訳家になれば、外国語・日本語を問わず、必然的に文章を書く機会が増えます。じつは、下手な文章しか書けないことは、翻訳家にとって命とりになりかねません。今回は、上手な文章を書くために役立つことについてご紹介します。

「違和感」を覚えるのは文章が下手だから

海外作品の翻訳本を読んでいて、「読みにくい」「内容がちっとも頭に入ってこない」と感じたことがある人は意外と多いのではないでしょうか。作品の内容そのものが難解な場合もありますが、たいていの場合は「なめらかな日本語」ではないことが問題のようです。

なめらかな日本語とは、自然な日本語と言い換えることができるかもしれません。文章を書くのが上手な人や読書家の人は、文章の「質」に非常に敏感なものです。それゆえ、文章を読んだだけで、その良し悪しがすぐに判別できます。

翻訳を仕事にしている人の中には、英文読解など語学力を伸ばすことだけに力を注いでしまう人もいるようです。そのようなケースでは、「餅は餅屋」というように、翻訳なら翻訳家に任せておけば万事順調という訳には行かないこともしばしば。

むしろ、下手な翻訳家よりも小説家のほうが、はるかに優れた訳文を生み出すのではないでしょうか。さすが日本語のプロフェッショナルだけあって、小説家の翻訳作品には、思わず唸ってしまうものが少なくありません。

日本語のプロフェッショナルたちを真似てみよう

残念ながら、日本国籍を保有しているからといって、知らず知らずのうちに日本語の優れた表現力が身に付くことはありません。ですから、翻訳家を目指すのであれば、外国語と日本語、双方の能力を伸ばすよう努めなければならないのです。

「外国語の勉強の仕方はわかるけど、日本語はどうやって勉強すればいいのか…?」と、途方に暮れてしまう人もいらっしゃるでしょう。日常生活で何の問題もなく日本語を使用している人にとって、その日本語能力にさらに磨きをかけることは意識的な努力が求められます。

上手な文章を書けるようになるためにおすすめなのは、日本語のプロフェッショナルたちの真似をすることです。日本語のプロフェッショナルの中には、小説家や新聞記者が含められます。それらの人々が書いた良質な日本語をたくさん読むと、やがて血となり肉となり、なめらかな日本語を書ける翻訳家になれるでしょう。

読むものを選ぶべき理由

「いつか翻訳家になりたい」と思っているのであれば、読むものを選ばなければなりません。翻訳家にとって、語学力(外国語、日本語のどちらも)は仕事道具です。

情報収集の目的で、ネットニュースやSNS、ネット掲示板やブログ等を読む人は多いのではないでしょうか。確かに、たくさんの情報を得られるかもしれませんが、それらは必ずしも良質な日本語で書かれている訳ではありません。

良質ではない文章(下手な文章)をジャンクフードに、良質な文章を肉や野菜、果物といった生鮮食品に例えることができるでしょう。調理の手間がいらず便利なジャンクフードは、中毒性もあり、ついつい食べすぎてしまうことも。ジャンクフードでお腹を満たすことはできるかもしれませんが、健康にはまったく寄与しないどころか、健康を害す恐れがあるのです。反対に、生鮮食品を食べることは、心身を健やかに保つことに役立ちます。

もちろん、ちょっとした息抜き目的でネットサーフィンをすることは、何も悪いことではありません。ネットの中には、日本語のプロフェッショナルたちが書いた、良い文章や参考になる文章がたくさんあります。ですが、良質ではない文章を読むことに慣れてしまうと、自分の日本語力や文章力が向上しないどころが、悪い影響を受ける可能性もあることを認識すべきでしょう。

翻訳家になるための本なども売っていますが、文章力を鍛えるには多く文章を読むことが一番の早道です。小説を読んでいても、作者の文章の癖などがあったりします。新聞でもそうです。新聞社によって文章の癖があります。Webで翻訳のお客様の中には「〇〇新聞社風の書き方で」などのリクエストをしてくるお客様もおります。上手な文章を書くには、多くの文章に触れるだけでなく、その人の言い回しなども研究すると良いかもしれません。

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