機械翻訳に頼りっきりになるのはまだ危険?使用時に気をつけたいこと

機械翻訳の精度があがり、面白い誤訳で笑う機会が少なくなりました。たまに変な誤訳に出会うと、つい嬉しくなってしまうなんてことも。しかし、機械翻訳に頼りっきりになってしまうのは、まだ危険です。今回は、機械翻訳を使用する際に気をつけたいことについてご紹介します。

機械翻訳の種類は主に3つ

機械翻訳の種類は主に3つあります。まずは、文法の決まりに基づいて、辞書データを参考にして行うルールベース型機械翻訳。収集した対訳文章(コーパス)から、翻訳パターンを学習して翻訳するフレーズベース統計型機械翻訳、さらにニューラルネットワークを利用した統計的機械翻訳であるニューラル機械翻訳です。中でも、現在最も精度が高く、お馴染みの「Google翻訳」でも使用されているのが、ニューラル機械翻訳になります。

ニューラル機械翻訳は、類似性のあるヨーロッパの国同士の言語であれば、かなり正確に訳すことが可能です。また、日本語と英語のように単語はもちろん、文法的にも類似点がほとんどない言語間の場合でも、簡単なコミュニケーションであればほぼ問題なく活用することができるでしょう。

誤訳が命を危険にさらす恐れも

とはいえ、完璧さを求めるにはまだ早すぎます。もちろん、完璧ではなくても、なんとか理解できる範囲であれば許容範囲だといえるでしょう。面白おかしいだけの誤訳であれば笑い話で済みますが、間違った翻訳により、命が危険にさらされる危険性もなきしにもあらず、です。

2019年に起こった台風19号の際の事例では、機械翻訳した避難勧告メールが在留外国人たちに送信されました。当然のことながら親切心からのことでしたが、ある言語で誤訳が起こってしまったといいます。増水の危険性から川へは近づかないようにとの趣旨だったものの、川に避難するように促されたと勘違いしかねない誤訳だったとか。

幸いながら、このときには誤訳による被害は出ませんでしたが、もしも被害が出ていたらと考えるとゾッとします。間違った翻訳の危険性について真剣に考え、誤訳のないよう直ちに対策を取る必要があるでしょう。

誤訳を防ぐために

在留外国人たちの中には、ひらがなで書かれた簡単な文章であれば、日本語でも理解できた人もたくさんいるでしょう。しかし、すべての人が日本語に精通している訳ではありません。日本語での会話は流暢でも読み書きが苦手な人や、そもそもほとんど日本語がわからないといった人さえもいるはずです。

言語が異なる人々に重要なことを知らせるには、やはり彼らの言語でお知らせするのが一番です。多言語翻訳ともなれば、やはり便利な機械翻訳に頼らざるを得ないかもしれません。機械翻訳による誤訳を防ぐ一つの方法は、日本語からある言語へと機械翻訳にかけたものを、さらに日本語へと翻訳することだといえるでしょう。ただし、この「日本語→外国語→日本語」にする方法も、残念ながら完璧な誤訳チェック法ではありません。現時点においては、機械翻訳だけに頼って翻訳するのは難しいでしょう。誤訳を防ぐためには、やはりスキルと経験を兼ね備えた専門家に依頼するのが一番です。

この先、機械翻訳がより有用なコミュニケーションツールになっていくことは間違いありません。機械翻訳では、正しい文法や文章構造の文章を翻訳するのは得意です。しかしながら、緊急時の連絡も含め、正しい情報を伝達しなければならない場面では信頼性に欠ける部分があります。機械翻訳を利用する場合にはそれだけに頼らず、チェックツールの利用や専門家にチェックを依頼するなど、誤訳予防に努めることが大切でしょう。

現時点で機械翻訳を使いこなすには、結局は翻訳前と翻訳後の言語をしっかりと分かっている必要があります。誤訳を分からずに、ビジネス文書や論文、医学文書などを相手に提出してしまったら大変な事になります。簡単な文章なら機械翻訳かもしれませんが、きちんとしたところへ提出する文章は、Webで翻訳を使って、プロの翻訳家にお願いして翻訳をしましょう。出来上がった文章もその場、その時、その相手に合った文章で仕上がります。

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