憧れの出版翻訳者への近道!『リーディング』の仕事とは?

出版翻訳

翻訳者とひと口に言っても、さまざまな分野の翻訳の仕事があります。それらの中でも、出版翻訳者になりたい人は後を絶ちません。しかし残念ながら、翻訳業界において、出版翻訳者になれるのはごく限られた人のみと言っても過言ではないでしょう。今回は、憧れの出版翻訳者に近づける仕事についてご紹介します。

リーディングの仕事とは?

翻訳学校に通ったからといって、すぐに出版翻訳の仕事ができるとは限りません。出版翻訳の仕事を得るためには、コネやツテを最大限に活かさなければならない場合もあるでしょうし、とにかくチャンスに恵まれないといけない場合もあるでしょう。

出版翻訳者としてデビューするチャンスを掴むきっかけとして、リーディングの仕事に応募することができるかもしれません。リーディングとは、出版社が海外の本を日本で出版するかどうかを検討するため、その判断材料となるシノプシス(レジュメ)を作成する仕事のことです。

リーディングの仕事を受注することができたなら、シノプシス作成だけではなく、出版社がそのまま翻訳を依頼してくれる場合も。もちろんシノプシス作成だけを依頼され、翻訳は別の人に回ることもあります。しかし、リーディングの仕事を続ければ、いつかは出版翻訳の仕事に就ける可能性が高いでしょう。

極端な話ですが、出版翻訳者への夢が叶うかどうかは、シノプシスの出来次第です。シノプシスは翻訳者の能力を如実に反映しますから、いわゆる「トライアル」のような役割を果たすといえます。

大切なシノプシス作り

シノプシスとは、本の内容をわかりやすくまとめたものです。とはいえ、個人の読書感想文のようなものではなく、シノプシス作成時には、本の内容を客観的に評価することが求められます。どんな魅力がある本なのか、どんな欠点があるか、さらに類似した内容の本があればどのような点が類似しているのか、違うところや優れた点はどこかなどを冷静に評価していきます。

それらに加えて、出版年月日や著者の略歴、予想される頁数など本に関する資料をまとめます。また、同様のジャンル本の売れ行きなども調査しておくと役立つでしょう。もしかすると、「うまくいけば翻訳の仕事が入ってくる!」と、つい肩入れしてしまいそうになるかもしれません。しかし、まずは質の高いシノプシス作りを心がけ、出版社や編集者の信頼を勝ち得ることを優先させましょう。

リーディングの仕事には、読解力や調査力が必要です。翻訳の仕事とは少し違うものの、どちらの能力も翻訳の仕事に欠かせません。読解力がないと原書の魅力を読み取ることはできないでしょうし、調査力を発揮しないと質の良いシノプシス作成はできないでしょう。加えて、シノプシス作りの際には、わかりやすい文章で上手にまとめる必要があるため、高い文章力も必要とされます。

まずは選り好みせずに挑戦を

リーディングの仕事を請け負うために、翻訳エージェントに登録することができるでしょう。リーディングの仕事の報酬目安は1冊につき5,000~数万円ほどです。シノプシス作成にかかる時間を考えると、けっして高い報酬とはいえないかもしれませんが、出版翻訳家になる夢を持っているのであれば、積極的に仕事を請け負うようにすべきです。

リーディングの仕事が翻訳の仕事に繋がれば、どんな翻訳書のジャンルでもまずは選り好みをせずに挑戦してみることが大切です。ビジネス書であれ児童書であれ、自分の読書嗜好とはかけ離れたものだったとしても、出版翻訳に携わるきっかけになるのであれば喜んで引き受ける心構えでいましょう。対象読者を意識して、誠意を込めて仕事を行えば、きっと明るい未来をつかみ取ることができるはずですよ。

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