オンライン辞書の時代ですが、紙の辞書が好きだという人も決して少なくないはず。国語辞典にしても英語辞典にしても、辞書・辞典は、翻訳家にとって仕事の友ともいうべき存在です。今回は、辞書好きが一度は手に取ったことがあるであろう「大辞林」に、新たに追加された言葉たちをどのように英語で説明できるのか、についてご紹介します。
13年ぶりに改訂された「大辞林」
中型辞書に分類される「大辞林」は1988年に初版が発行され、2019年には第四版が発行されました。古語から現代語はもちろん、複合動詞の意味も数多く収録されています。初版の頃から新しい言葉の採録に積極的な辞書でしたが、最新版でも近年定着した言葉がしっかりフォローされており、新しい言葉の収録語数においては中型辞書の中でトップだといえるでしょう。
一冊の辞書を完成させるのに、10年も30年もかかるといわれています。それほど、辞書編纂者の仕事は根気がいるもの。大辞林の第三版発行が2006年でしたから、今回の改定版はまさに13年ぶりのことになります。新たに通過収録された新語を見ても新鮮さを感じないのは、すでに世の中に浸透した言葉たちが多いからかもしれません。
新語を英語で説明してみよう
テレワーク
コロナ禍ですっかりお馴染みになった「テレワーク」は、英語でも「Telework」です。1970年代初めに作られた造語ですが、基本的にはオフィスをメインにしながらも、自宅で働くことを意味します。ただし、日常会話ではあまり使われる25ことがないため、今日はテレワークをしているといいたいときには、「I am working from home today.」と簡単に表現できます。
ワンオペ
一人で育児をすることをワンオペ育児といいますが、この言葉が、ユーキャン主催の流行語大賞にノミネートされたのは2017年のことでした。実際には、2014年頃に国内ブラック企業の過酷な業務体制を表す言葉として登場しましたが、その翌年からは主に育児に関して使用されるようになりました。
ワンオペ育児とは両親揃っていながらも、片親のみが子育てをする状態のことを指すのが一般的な使用法です。ワンオペ育児という言葉を使う背景には、子育てに関与していない配偶者を非難する意味合いが込められているといいます。ですから、ワンオペ育児を英語で説明するのであれば、「Raising a child alone because of partner is uncooperative with it.」といえるかもしれません。
シンデレラサイズ
シンデレラサイズとは、一般的なサイズよりも小さいサイズのことで、特に靴に対して用いられる言葉です。シンデレラの物語の原型は、古代エジプトの「ロドピスの靴」だといわれており、西暦前5、6世紀頃にはすでに存在していたのだとか。当然のことですが、この靴でシンデレラサイズのものを探していますと英語で伝えても、相手にはチンプンカンプンでしょう。そのような場合には、「Could you get me the same shoes in a smaller size?」といえます。
ダブルケア
子育てと介護を同時に行うことを、ダブルケアといいます。響きがなんとなく英語っぽい言葉ですが、お気づきのように和製英語です。現代日本が直面するダブルケア問題のことを、「Caring simultaneously for children and parents(子どもと親を同時にお世話すること)」と説明できるかもしれません。
ラスボス
ラスボスとは、ゲームのラストに登場するキャラクターのこと。英語ではラスボスのことを「Last Boss」ではなく、「Final Boss」もしくは「End Boss」といいます。90年代に生まれたとされる言葉ですが、しばらくは俗語扱いを受けていたため、一部では頻繁に使われていたもののメディアなどではほとんど使用されてきませんでした。2000年代になってようやく、ラスボスという言葉が世間に浸透しはじめた模様です。
時間の経過と共に新しい言葉が生まれてきます。少し前にはスマートフォンという言葉もありませんでした。これらの生まれたばかりの言葉をどう相手に伝えるのか、伝わりやすくするのかも翻訳家の腕の見せ所です。Webで翻訳の翻訳家がどう翻訳するか一度見て頂きたいと思います。
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