通訳・翻訳など、語学を仕事にしている人にとってもっとも恐ろしいことが、「誤訳」です。うっかりミスではすまされない誤訳も多く、ひと度誤訳をしてしまえばクライアントに多大な迷惑をかけてしまうことも。最近よく聞くフェイクニュースも誤訳から始まっていることも多々あります。今回は、誤訳の恐ろしさと誤訳を防ぐためにできることについてご紹介します。
誤訳の恐ろしさを目の当たりに
先日、海外の滞在先でなんとなくテレビをつけていたときに、気になる単語が耳に飛び込んできました。そのとき日本のアニメ番組のインドネシア語版が放送されており、ちょうど「わらしべ長者」を説明するくだりがありました。
「わらしべ長者」をインドネシア語に正しく訳すと、「Jutawan Jerami」もしくは「Saudagar Jerami」になります。「Jutawan」とは長者のことで、「Jerami」はわらを意味します。「Saudagar」とは商人のことなので、「Jutawan Jerami」のほうが正確な訳になりますが、インドネシアでは「Saudager Jerami」と訳すほうが意味が通じやすいため一般的です。
しかし、アニメ番組の中では「わらしべ長者」のことを、「Jutawan Sedotan」と誤訳していました。これを日本語に訳すと、「わらしべ長者」ではなく「ストロー長者」になってしまいます。外国の人々からすれば、わらでもストローでもたいして変わりないものかもしれませんが、日本人からすれば大問題です。
恐らく、このアニメの映像翻訳に携わった人は、英語版からインドネシア語に翻訳したのでしょう。英語では、「わらしべ長者」のことを「The Straw Millionaire」といいます。どうやら翻訳家は、わらを意味する「Straw」を、飲み物を飲むときに使うプラスチックのストロー(Strawとまったく同じつづり)のことだと勘違いしてしまったようです。
翻訳で誤訳を防ぐために行うべき3つのこと
誤訳や訳抜けは絶対に避けたいですが、どのように誤訳を防ぐことができるのでしょうか?翻訳の誤訳を防ぐためにできる3つのポイントをご紹介します。
下準備を怠らない
なにごとをするにも、スムーズに事を運びたいのであれば下準備は欠かせません。翻訳の下準備とは、翻訳対象言語の表現ストックを増やすことです。翻訳しにくい箇所には、ネイティブらしい表現が用いられていることが少なくありません。例えば、「Cut it out」を日本語に訳す場合、「それを切り離せ」ではなく「やめてくれ」が正解です。直訳では意味が通じないことも多く、知識不足が誤訳を生む結果に繋がります。
ラオスではタイ語が通じることもあり、タイ東北部の方言とラオ語は似ているといわれています。ところが、以前タイのテレビ局がラオ語の「列車」を「動く家々の列」、「青信号」のことを「自由の灯り」と誤訳してしまったことがあるのだとか。少し調べれば正しい意味が掴めるところ、下準備を怠ったせいで起こった悲劇だといえるでしょう。
文化に精通する
翻訳をするときには、翻訳先の国や地域の文化に精通しておく必要があります。言語の背景にはその国の国民性や価値観があり、それらを知らずに翻訳をすれば誤訳を招く可能性が高くるのは当然のことでしょう。
例えば、日本語は間接的な表現が多く、直接的な表現が多い国の人からすれば理解しにくい言語です。「行けたら行く」とは、まったく行く気がないときなどにやんわり誘いを断るための表現として使用される場合が多いのではないでしょうか。しかし、英語訳を「I will try to make it」にすると、途端に行く気だけは満々であることを表すニュアンスが加わってしまいます。
部分的に訳さず、全体を見て訳す
翻訳をする際には、一文ずつ翻訳するのではなく、全体を見ながら翻訳するようにしましょう。一般的には全体をざっと訳して原文の意味を把握し、その後細かな部分を翻訳していきます。もちろん、翻訳家によって翻訳の方法は異なりますが、最初に全体的な意味を把握していると誤訳を防ぎやすくなるといえるでしょう。
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