1月の誕生石「ガーネット(Garnet)」にまつわるお話

誕生石の起源は、旧約聖書の時代の祭司が身に着けた「エフォド」を飾った12個の宝石だとされています。現在では、誕生した月の石を身に着けると幸運が訪れるといわれており、誕生石でできたジュエリーを身に着ける人も多いようです。そこで今回は、1月の誕生石であるガーネットにまつわるお話をご紹介します。

ガーネットの語源は?

英語でガーネットは、Garnetです。語源の由来にはいくつか説がありますが、14世紀に使用されていた中世英語で、暗い赤色を意味するgernetに由来しているようです。ほかにも、ラテン語のgranatus(種子の意味)に由来しているという説、ラテン語のgranatum(柘榴の意味)にちなんでいるという説があります。柘榴の実に似ていることから、日本でも柘榴石と呼ばれることも。

ガーネットは愛、友情、努力、繁栄などを表す宝石として知られるほか、硬度が高く、耐久性に優れた石として知られています。一般的に赤い色のイメージが強いガーネットですが、じつは緑色や黄色、黒色をしたガーネットも存在するのだとか。じつは紙やすり(サンドペーパー)には、研磨剤としてガーネットの粒が使用されています。茶色い紙やすりなど、意外なものに利用されているため身近にあっても気が付かない人も多いでしょう。

ラテン語で小さな炭を意味する「カーバンクル(Carbuncle)」は、赤い宝石の総称として用いられる単語です。しかし古代では、主にガーネットを指して用いられていました。ところで、カーバンクルは伝説の生き物の名前でもあり、その額に付いた赤い宝石(ガーネット、もしくはルビーと考えられている)を手に入れると、富と名声が手に入ると信じられています。

ガーネットのルーツ

古代から貴重な宝石として扱われてきたガーネット。古代エジプトでは、ファラオの首に赤いガーネットのネックレスが飾られ、死後の世界のための財産としてミイラと共に埋葬されました。また、ソロモン王が神から与えられた宝石の1つと考えられており、古代ローマでは、署名に使用していたシグネットリングにガーネットが用いられていました。

昔の人々は、ガーネットは夜を照らし、悪夢から身を守ると考えていたのだそう。さらに、遠くに離れた土地に行かなければならない旅人が災難から身を守るために、ガーネットを携帯していたといいます。十字軍の兵士たちもケガから身を守るため、ガーネットをお守りとして身に着けていたようです。

中世において聖職者や貴族に好まれたレッドガーネットですが、16世紀になるとボヘミアンガーネットの鉱床が発見され、19世紀後半まで非常に良質のガーネットが多数採掘されました。このようにボヘミアンガーネットとは、チェコ、ボヘミア地方で採れるガーネットのことですが、深紅に近いこの石はガーネットの中でも最良のものと高い評判です。

ガーネットのカラーバリエーション

ガーネットは地球上のほとんどの地域で発見されており、そのカラーバリエーションは地域によって異なります。オレンジとブラウンのスペサルタイトとヘソナイトは、ナミビアとスリランカで産出され、ギリシャ語で「燃える眼」を意味するパイロープは南アフリカ、スリランカ、中国、マダガスカルで産出されます。一方、採石量が豊富なアルマンダイトはアメリカをはじめ、ブラジルやインドが原産地です。また、鮮やかなグリーンが特徴のデマントイドガーネットは、19世紀にロシアのウラル山脈で発見されました。

赤い色の石のイメージが強いガーネットですが、アルマンダイトとパイロープが混ざってできたラズベリー色のロードライトガーネット、奈良県天川村で発見された七色の発光するレインボーガーネットなど、ガーネットの魅力は尽きることがありません。

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