医療翻訳家が翻訳するのは、治験に関する書類だけではありません。中には、医学論文や学会資料などを翻訳しなければならない場合もあるでしょう。そこで今回は、医学論文を英語で書きたい方をはじめ、医学論文を翻訳したい方にもおすすめの洋書をご紹介します。
英語で医学論文を書きたい人におすすめの洋書
Science Research Writing For Non-native Speakers Of English
英語を母国語としない人が、英語で研究論文を書くのはなかなか大変なこともあるでしょう。本書はそんな英語のネイティブスピーカーではない人に向けて書かれた、論文の書き方を学べる一冊です。医学論文を書くときの構成基本であるインドトロダクション、研究方法、結果、考察、要約の5つの構成から成り立っており、英語で修士論文や博士論文を書く際にも役立ちます。論文を書くときに使用できる単語のボキャブラリーリストが付いているのも嬉しいポイントです。
How to Write and Publish a Scientific Paper
論文は英語で、 ThesisもしくはPaperです。本書ははじめて論文を書く人はもちろん、経験豊富な研究者まで参考になるアドバイスがたくさん詰まっています。海外の専門ジャーナルに投稿する際には投稿規定に沿って論文を書く必要がありますが、こちらの本では論文の投稿や査読への対応についても書かれており、海外の専門ジャーナルに論文を投稿する場合に役立つでしょう。また、興味深い点として、助成金提案書やプレゼン資料の作成についても解説されています。
How to Write a Scientific Paper: An Academic Self-Help Guide for PhD Students
本書は、研究論文を書く学生に役立つ本です。論文のアウトラインを描く方法からはじまり、ストーリーを展開する方法、文章を書くためのヒントなど、論文を完成させるのに必要な知識を一通り身につけることができるでしょう。また、書くことに苦手意識を持っている研究者が、効率よく論文を書くためのヒントが記されています。
Writing Scientific Research Articles: Strategy and Steps
科学者にとって何を書くかも大切ですが、どう書くかも大切なことです。本書は、説得力のある研究論文を作成できるよう研究者たちを手助けする一冊となっています。論文の内容と同じほど大切なのが、論文の趣旨をまとめたアブストラクトです。専門ジャーナルに投稿する際、編集者はアブストラクトを参考に掲載の可否を決定します。そのため、どんなに研究論文が素晴らしい出来だったとしても、アブストラクトで手を抜いてしまうと不採用という不面目な結果に。その点本書は、アブストラクトの書き方を学ぶのにも最適です。
The Scientist’s Guide to Writing: How to Write More Easily and Effectively throughout Your Scientific Career
本書は、学生から若手科学者に役立つ情報が詰まった、論文を書くための入門書と呼べる一冊です。論文の構成や初稿の修正、引用の扱いや査読への対応、そして共著者の管理など、実際的なアドバイスが提供されています。嬉しいことに、英語を母国語をしない人が、どのように英語で論文を執筆できるかに関しての助言も記されており、役立つ情報満載です。
医学論文翻訳はプロに依頼すべき?
ひと口に医学論文といっても、その種類はじつにさまざま。原著論文から会議録、講義や解説、図解までいろいろな種類があります。医学論文を海外の専門ジャーナルに投稿する場合には、当然のことながら英語で執筆する必要があります。近年では機械翻訳を活用しながら、医学論文を書く方や翻訳する方も増えているようです。
医学論文の翻訳をはじめ、産業翻訳の分野は決まった用語や定型文が多く使用されるため、機械翻訳に頼りやすい分野とされています。しかし、すべての翻訳分野にいえることですが、とくに医療翻訳や医学論文においては、わずかなミスも許されません。高い翻訳精度が求められる医療翻訳、医学論文翻訳だからこそ、経験豊富な翻訳家の力が必要になるでしょう。