四季の移り変わりを感じさせる日本の和菓子。その芸術作品のような美しさと繊細な味に、興味を持つ海外の人は少なくありません。そこで今回は和菓子の中でも、ぼたもちとおはぎの違いをどのように英語で説明できるのかについてご紹介します。
■和菓子のことを英語では?
食べておいしく目に麗しい和菓子は、日本が世界に誇る伝統のひとつです。砕いた木の実をアク抜きして丸めたものが和菓子の始まりとされ、その歴史は縄文時代までさかのぼることができるといわれています。
ひと口に和菓子といっても、その種類はじつにさまざま。ごく簡単に生菓子・半生菓子・干菓子と分類できますが、和菓子の材料による分類法や製造の仕方による分類法のほか、製造器具による分類法なども存在します。
和菓子は日本特有のものですから、「SUSHI(寿司)」や「TEMPURA(天ぷら)」などと同じく、英語では「WAGASHI」になります。和菓子は、traditional Japanese sweetsと英語で説明できるでしょう。また、材料について、「The most commonly used ingredient in Japanese sweets is beans, which are the ingredients for bean paste.(和菓子でもっともよく使用される材料は、餡の材料となる豆類です)」と英語で説明できます。
■ぼたもちとおはぎの違い
もち米とうるち米を炊いて混ぜ合わせて、あんこで包んだぼたもちとおはぎ。基本的にはほぼ同じ和菓子だといっても過言ではありませんが、こしあんを使うのはぼたもち、つぶあんを使うのはおはぎです。あんの原材料である小豆は秋に収穫されます。収穫したての小豆の皮は柔らかく香りが良いので、おはぎを作るときにはつぶあんが使用されるのです。一方、ぼたもちを作るときには硬くなった小豆の皮を取り除いて使うため、こしあんが使用されます。
あんは英語でred bean pasteやsweet red bean pasteといい、こしあんはsmooth sweet bean paste、つぶあんはmashed sweet bean pasteといいます。ぼたもちとおはぎの違いを英語で説明するとすれば、「Botamochi is made with smooth sweet bean paste, and ohagi is made with mashed sweet bean paste.(ぼたもちはこしあんで、おはぎはつぶあんで作られています)」といえるでしょう。
また一般的に、ぼたもちは春のお彼岸に、そしておはぎは秋のお彼岸の時期に食べられるものとして知られています。小豆の赤い色には魔除けの効果があるといわれており、江戸時代にはお供えものとして邪気払いのために食されていました。
お彼岸はHIGANでも構いませんが、よりわかりやすく英語で説明するならequinoctial weekといえるかもしれません。よって、先程のぼたもちとおはぎの食べられる時期の違いを英語で説明すると、「Botamochi is eaten during the spring equinoctial week, and Ohagi is eaten during the autum equinoctial week in Japan.」になります。
■ぼたもちとおはぎの呼び名の由来
非常によく似た和菓子のぼたもちとおはぎですが、その呼び名の違いはどこに由来するのでしょうか?じつは、春のお彼岸の時期は、牡丹の花が咲く時期に当たります。牡丹の花が咲く時期に食べられる和菓子だから、牡丹のもちが転じて、ぼたもちと呼ばれるようになったのだとか。牡丹も芍薬も英語ではPeonyといいますが、芍薬とはっきり区別したいならTree-peonyといえるでしょう。
秋のお彼岸の時期は、萩の花が咲く時期です。そのため、室町時代の宮中に使えた女性たちが使用した女房言葉から、はぎではなく、「お」を付け加えておはぎと呼ばれるようになったそうです。加えて、一説では小豆の粒が萩の花に似ていることから、萩のもちと呼ばれ、後におはぎになったともいわれています。ちなみに、萩は英語でBush cloverです。
一般的に、ぼたもちとおはぎを作るときには、もち米等を半分つぶしてからあんで包むことが多いようです。地域によっては、もち米等を半分つぶすことから「半ごろし」と呼び、もち米等を全部つぶしてしまうバージョンのことを「みなごろし」と呼ぶのだといいます。さらに、もち米の状態ではなく、小豆の状態からおはぎのことを半ごろし、こしあんのぼたもちのことをみなごろしと呼ぶ地域もあるようです。
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