英語中級者とは、日本の高校英語をマスターしているものの、英語で書く、読む、話す、聞くの技能を問題なくこなすまでには至っていない人のことを指します。英語中級者が英語力をさらに伸ばす方法のひとつに多読がありますが、今回は英語中級者の英語学習に最適な英語圏の中学生たちが読んでいる洋書をご紹介します。
■ The Benefits of Being an Octopus by Ann Braden
複雑な家庭に生まれた7年生(日本では中学校1年生)のゾーイは、仕事をしている母親に代わって下の子たちの世話をしています。若くしてすでに生きづらさを感じている彼女は、8本も足を持つ「タコ」の万能感に憧れていました。カモフラージュが得意なタコのように、学校ではできるだけ目立たない生徒として学校生活を送っていましたが、ある日、お節介な先生が彼女をディベートクラブに参加させてしまい…。『The Benefits of Being an Octopus』は、自分の生きる道を見つけようとする主人公の目を通して、貧富の差とそこから生じる文化的分裂、さらに銃社会であるアメリカについて考えさせられる一冊です。
■The Remarkable Journey of Coyote Sunrise by Dan Gemeinhart
交通事故で母親と妹を失った12歳のコヨーテは、父親とともに古いスクールバスで国中を移動しながら暮らしています。最愛の家族を亡くして深く傷ついた二人は、根無し草のような生活を送ってきました。ところが、家族との思い出を入れた箱を埋めた公園が取り壊されると知り、コヨーテたちは故郷に帰る決意をします。その旅の途中、さまざまな問題を抱えた人たちと出会うことになり…。
■Out of My Mind by Sharon M. Draper
脳性麻痺のエロディは、話すことも歩くこともできません。学校では特別支援学級以外のクラスと交流する機会がありますが、それらの子どもたちにとって、エロディは「異質な存在」でした。ところが、コンピューターを通して彼女が考えていることを伝えられるようになると、周囲の見方が変わってきて…。『Out of My Mind』は、脳性麻痺の子どもとその家族が直面する問題が扱われています。
■Return to Sender by Julia Alvarez
アメリカ・バーモント州で酪農を営むタイラーの家族は、彼の父親が事故に遭ったのをきっかけに、メキシコ移民を雇うことにします。年の近いタイラーと移民の娘・マリは徐々に親しくなっていきますが、彼らを取り巻く悲惨な現実から目を背けることはできませんでした。『Return to Sender 』は、多感な時期の少年と少女が育む友情を通して、アメリカの移民問題を浮き彫りにした作品です。
■When Stars are Scattered by Victoria Jamieson
ソマリアの内戦で父親を失い、母親とも引き離されてしまったオマール。いつか母親と再会できると希望を持ちながら、発達障害を抱える弟と一緒にケニアの難民キャンプに辿り着きます。しかし、6年間の難民生活は彼らにとって容易いものではありませんでした。実話をもとにした『When Stars are Scattered 』は、厳しい現実にさらされながらも、希望を捨てない兄弟たちの心温まる物語です。
『George』は、性的アイデンティティといじめ、差別問題について深く考えさせられます。4年生になるジョージは、トランスジェンダーです。ジョージのことを受け入れてくれる人がいる一方で、トランスジェンダーであるがゆえに変人呼ばわりされたり、いじめっ子に殴られたりすることも。また、ゲイとトランスジェンダーの区別がつかないジョージの兄弟たちからも、心ない言葉を掛けられ傷つくこともしばしば。ジョージも自分自身に戸惑っており、自分が男の子が好きなのか、女の子が好きなのかもわからないようで…。
■ Counting by 7s by Holly Goldberg Sloan
風変りな趣味を持つ12歳のウィローには、これまで友達と呼べる存在などできたことがありませんでした。良き理解者であった養父母さえも交通事故で亡くした彼女は、自分の居場所を探す旅に出ます。大きな喪失感を抱えながらも、ひたすら前を向こうとするウィローの姿は、読者に生きる勇気を与えてくれるでしょう。
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