翻訳需要のもっとも多い言語は、まぎれもなく英語です。しかし、英語を徹底的に勉強しても、すべての人が翻訳家になれる訳ではありません。翻訳家の将来性は、翻訳する言語の選択にかかっているといっても過言ではありません。翻訳家として活躍したいなら、英語以外の言語に注目する必要があるでしょう。
■英語以外の言語に目を向けるべき3つの理由
・英語翻訳の需要は高いが翻訳家が飽和状態
インターネットでもっとも使用されている言語である英語。数あるウェブサイトの半数以上を、英語サイトが占めているといわれています。英語翻訳の需要は安定しており、英語の翻訳家になりたい人はたくさんいます。しかし、トップ翻訳家ばかりに案件が集中する傾向にあるため、残念ながら英語の翻訳家として活躍できる人の数はそれほど多くはありません。
・機械翻訳の精度が向上している
ディープラーニング(深層学習)の登場により、機械翻訳の精度は劇的に向上しました。文学的な表現を翻訳するにはまだまだ向上の余地はありますが、記述ルールが決まっている文章であれば、それなりに精度の高い翻訳に仕上がります。とくに英語の機械翻訳の進歩は目覚ましいといえるでしょう。
・アジア各国への輸出拡大
日系企業の事業拡大先として依然人気なのが、アジア諸国です。また、海外進出はハードルが高くても、積極的に輸出を拡大していきたいという企業は多い模様。海外マーケットを意識する企業にとって、翻訳家はなくてはならない存在です。英語はもちろん、英語以外の言語を翻訳できる翻訳家の需要が高まっていくでしょう。
■将来性のある言語の翻訳家を目指して
・中国語翻訳の将来は?
欧米や日本に比べて、高い成長水準を維持している中国経済。豊富な人材と比較的安価な賃金ゆえに「世界の工場」として、さらには世界一の人口を誇るゆえに「世界最大の市場」としてこれまで注目を集めてきました。ビジネスチャンスの多い中国へ進出する企業の増加に伴い、中国語翻訳の需要が高まったのは事実です。
ところが、長引く米中貿易戦争と世界中で猛威を振るった新型コロナウィルスの影響から、多くの企業が、生産拠点を中国から東南アジアに移そうとする動きが見られるようになりました。伊藤忠経済研究所は、この先中国経済の成長減速は不可避だと予測しています。今後、その動向がどうなるのかは定かではありませんが、翻訳を勉強するのであれば、中国語以外にも目を向けておく必要があるでしょう。
・どの言語の翻訳需要が高まる?
海外進出している日系企業9,000社の動向をまとめた、日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部の『2020年度海外進出日系企業実態調査』によると、約4割の日系企業が今後1、2年のうちに事業を拡大する計画であることが明らかになりました。
海外進出した日系企業は、コロナ禍による世界市場の消失で大きな打撃を受けたものの、その多くが事業の現状維持を選択し、縮小や撤退の増加率はわずかにとどまりました。
数年前に比べると、全体的に事業拡大の意欲は低下しています。しかし、インド、ベトナム、オランダ、ドイツ、ブラジル、メキシコ、アメリカ、インドネシアなどの国々で、事業を拡大する予定の企業があるようです。
また先述したように、中国からASEAN各国に生産拠点を移すことを検討中の企業もあることを考慮すると、アジア各国の言語の翻訳需要が高まると予測されます。英語に比べると、アジア各国の機械翻訳の精度はまだまだ改善の余地があるのは明らかです。これから翻訳家として活躍しようと思うなら、ぜひ英語以外の言語にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
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