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太宰治の隠れた名作『女生徒(Schoolgirl)』の名言を英語でPart.2

1939年に発表された『女生徒(Schoolgirl)』は、太宰治が30歳のときに書いた作品です。14歳の多感な少女の心情が赤裸々に綴られたこの作品を読むと、とても30代の青年が執筆したとは思えず、太宰治がいかに優れた作家であるのかがよく理解できるのではないでしょうか。

女生徒

As I grow older, I have begun to understand more and more how ethics taught in school and public mores are two different things.

(学校の修身と、世の中の掟と、すごく違っているのが、だんだん大きくなるにつれてわかって来た。)

名詞のethicsには、倫理や道徳といった意味があります。ケンブリッジ辞典によると、the study of what is morally right and wrong, or a set of beliefs about what is morally right and wrong.(道徳的に正しいこと、間違っていることは何かを学ぶこと、または道徳的に正しいこと、間違っていることに関する信念)と説明されていました。

■I sat there agape, looking at the flowers, and thought to myself, There are really good things about human beings. I mean, it’s humans who discovered the beauty of flowers, and humans who admire them.

(ぽかんと花を眺めながら、人間も、本当によいところがある、と思った。花の美しさを見つけたのは、人間だし、花を愛するのも人間だもの。)

形容詞のagapeは、口を大きくぽかんと開けたという意味です。名詞形になると、キリスト教の「アガペー愛(無私の愛)」の意味になります。

He doesn’t even know about the embroidered roses on my underclothes.

(先生は、私の下着に、薔薇の花の刺繍のあることさえ、知らない。)

形容詞のembroideredには、刺繍のあるという意味があります。動詞形のembroiderになると、刺繍する、縫い込むという意味に。趣味は刺繍ですと言いたいなら、My hobby is embroidery.と言えるでしょう。

I felt his absence within the house like a gaping void that made me shiver with agony.

(やっぱり、お父さんがいないと、家の中に、どこか大きい空席が、ポカンと残って在るような気がして、身悶えしたくなる。)

動詞のshiverには恐怖や寒さで身震いするという意味が、 名詞のagonyには激しい苦痛という意味があります。そのため、shiver with agonyで身悶えると表現できます。

I wondered if staring at the beautiful evening sky for so long had made my eyes look like this. Lucky me.

(美しい夕空を、ながいこと見つめたから、こんなにいい目になったのかしら。しめたものだ。)

しめたとは、物事が思いがけず自分の思い通りになって喜ぶときに使用する言葉です。ここではLucky meと訳されていますが、「ヨシッ!!!やったぞ!」や「ついてるゾ!」というときに使用できます。

I’ll be a steady and frugal daughter. Really and truly.

(しっかりした、つましい、つましい娘になります。それは、たしかなのです。)

Really and trulyとは、心の底から、本当に本当に、絶対だという意味です。

With cooking, it’s all about the way it looks. That’s usually enough to fool anyone.

(料理は、見かけが第一である。たいてい、それで、ごまかせます。)

目的語がいらない自動詞のfoolにはふざける、馬鹿な真似をするという意味があり、目的語が必要な他動詞のfoolには誤魔化す、欺く、けむに巻くなどの意味があります。

Heaven forbid if beauty were to have substance. Genuine beauty is always meaningless, without virtue. It goes without saying.

(美しさに、内容なんてあってたまるものか。純粋の美しさは、いつも無意味で、無道徳だ。きまっている。)

Heaven forbid~で、~なんてあってたまるか、~なんてあってはならないという意味に。同じ意味の表現として、God forbidも使えるでしょう。また、It goes without saying that~で、~は当然だという意味になります。

I envied those who were able to go through life simply in the midst of all the other weak, kind, and warm people like them.

(一生、自分と同じくらい弱いやさしい温かい人たちの中でだけ生活して行ける身分の人は、うらやましい。)

「いいなあ~うらやましい!」と会話で言いたいときには、I’m jealousです。君がうらやましいと言いたいなら、I’m jealous of youに。同じ意味のI envy youも間違いではありませんが、日常会話では物欲しそうな印象が強いenvyよりも、軽い意味のjealousを使用するほうが一般的です。

It made me miserable that I was rapidly becoming an adult and that I was unable to do anything about it.

(めきめきと、おとなになってしまう自分を、どうすることもできなく、悲しい。)

どうすることもできないが、that I was unable to do anything about itと文語的に英訳されています。会話の中で、どうすることもできないと言いたいのであれば、I can’t do anything about itと言えるでしょう。

 

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