新一年生が、自分の体よりも大きなランドセルを背負って小学校に向かう姿は、日本の春の風物詩です。ところで、3月21日は「ランドセルの日」に制定されていますが、ランドセルにはどのような歴史があるのでしょうか。本記事では、ランドセルの歴史と英語で説明する方法についてご紹介します。
ランドセルの歴史
幕末の頃、江戸幕府が将兵たちに装備品として与えた背嚢が、ランドセルのモデルだといわれています。背嚢とはいわゆるバックパックを指し、布や革から作られた背中に背負うタイプのカバンのことです。オランダからもたらされたと伝えられていますが、オランダ語では背嚢のことを「ランセル」といい、これがなまってランドセルと呼ばれるようになります。
初めてランドセルを通学カバンとして導入したのは、学習院でした。1877年に神田錦町に私立の華族学校として開設され、明治天皇から「学習院」の校名を与えられます。1885年、馬車や人力車での登校が禁止されたことにより、学習院では学用品を入れるためのカバンとしてランドセルが選ばれます。 当時の将兵には革製の背嚢が支給されていましたが、皇太子時代の大正天皇がこの軍隊の背嚢を通学カバンにしたいとせがみ、伊藤博文がランドセルを献上したといわれています。革製のランドセルは高級品でしたから、庶民はランドセルではなく布製のショルダーバッグや風呂敷を通学カバンとして使用していました。しかし、昭和になって高度成長期に突入すると、通学カバンとしてランドセルが全国に普及することになります。
ランドセルを英語で説明すると?
ランドセルは、オランダ語に由来する和製英語です。日本独自のものですから、英語でも「randoseru」になります。ランドセルを英語で説明するとすれば、A randoseru is a sturdy and functional school bag made of leather, or a leather-like synthetic material.(ランドセルは、革や革に似た合成素材で作られた丈夫で機能的なスクールバッグです)と説明できるかもしれません。Nearly all elementary school students use randoseru in Japan.(日本では、ほとんどすべての小学生たちがランドセルを使います)と付け加えることもできるでしょう。 ちなみに、背中に背負うタイプの普通のカバンのことをバックパックやリュックサックと呼びますが、バックパック(backpack)は英語で、リュックサック(rucksack)はドイツ語です。また、イギリスの学生が使う革製の通学カバンはランドセルとよく似ており、サッチェル(satchel)と呼ばれています。
海外で流行するランドセル
日本の小学生を象徴するアイテムといえばランドセルですが、じつは韓国や中国でも、小学生の通学カバンとして、ランドセルに似たカバンが使用されています。最近では、丈夫さとユニークな形からファッションとしてランドセルを取り入れている海外の人もいるらしく、「ランドセル=子どもの通学カバン」という概念が大きく覆されました。
とはいえ、大人がランドセルを愛用している姿は、わたしたち日本人からすれば異様な光景として目に映るかもしれません。しかし、そんなわたしたちも、知らず知らずのうちに海外の人の目からすれば奇妙なことをしている場合もあるでしょう。
例えば、背中に負うタイプのカバンで、機能的でデザインも良く、しっかりした作りという点で日本のランドセルとイギリスのサッチェルバッグは似ています。大人っぽい雰囲気のサッチェルバッグは、大人が持ってもおかしくないように思えるかもしれません。ところが、イギリスの人々からすれば、「大人がサッチェルバッグを持つのはおかしい!」となるのだとか。まさに、所変われば品変わる、So many countries, so many customsですね。
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