【医療英語】肺炎にまつわる英語表現をご紹介

日本人の死因でも多い肺炎。2020年に、世界保健機関(WHO)が発表した世界の死因トップ10には入っていないものの、心疾患や呼吸器疾患、がんや糖尿病に罹患していると重症化しやすいといわれています。今回は、そんな肺炎にまつわる医療英語をご紹介します。

肺炎とは?

肺炎(はいえん)は、肺の組織に炎症が起こる疾患の総称です。通常、細菌やウイルス、真菌などの病原体による感染が原因となります。肺炎を起こす病原微生物には、肺炎球菌やインフルエンザ菌のほか、ライノウィルス、インフルエンザウィルス、RSウィルス、パラインフルエンザウィルス、コロナウィルスなどが挙げられます。

肺炎にかかると発熱や咳、痰や倦怠感など、風邪によく似た症状が現れるのが一般的です。重症の場合には、高熱、呼吸困難、意識障害、血痰などの症状も現れることがあります。肺炎と風邪は感染部位が異なり、風邪が上・下気道における感染なのに対し、肺炎は肺におこる感染症で、肺胞という部位に炎症が起こります。

誰もがかかる可能性のある肺炎ですが、免疫力が低下している人や高齢者をはじめ、慢性疾患を持つ人の発症率が高く、重症化しやすい傾向に。高齢者の場合には、熱や咳などの症状が出ないことも少なくないようで、治療が遅れて重症化することもあります。治療には、抗生物質や抗ウイルス薬の使用、症状の緩和を目的とした対症療法が一般的に行われます。予防策としては、予防接種(肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチン)の接種や、手洗いやマスクの着用といった衛生対策が重要です。

肺炎にまつわる医療英語表現

肺炎は英語で、Pneumoniaです。肺炎は、感染性肺炎と罹患場所による肺炎、そして誤嚥性肺炎や薬剤性肺炎、症候性肺炎といったそのほかの種類に分類することができます。感染性肺炎には、細菌性肺炎(Bacterial Pneumonia)とウィルス性肺炎(Viral Pneumonia)、マイコプラズマやレジオネラ等の細菌や寄生虫を原因とする非定型肺炎(Atypical Pneumonia)が存在します。

罹患場所による肺炎には、市中肺炎(Community-acquired Pneumonia)と院内肺炎(Hospital-Acquired Pneumonia)のほか、高齢者介護施設発症肺炎もしくは医療・介護関連肺炎(Nursing and Healthcare-Associated Pneumonia)、人工呼吸器関連肺炎(Ventilator-Associated Pneumonia)です。ただし、医療・介護関連肺炎(Nursing and Healthcare-Associated Pneumonia)は日本独自の名称で、アメリカではる医療ケア関連肺炎( Healthcare-Associated Pneumonia)という名称で知られています。なお、アメリカにおいてこの医療ケア関連肺炎の分類概念は廃止され、肺炎診断の流れから排除されています。

市中肺炎とは、健康な人が日常生活を送る中で発症する肺炎です。市中肺炎はいわゆる common diseaseで一般的で非常に多い疾患ですが、市中肺炎全体の死亡率は約 6.3%となっており、重症化することでその率はより高くなります。一方、院内肺炎とは入院中の人が治療や基礎疾患によって感染しやすい状態に陥り、病院の中で感染した肺炎のことです。

肺炎球菌は英語で?

肺炎の原因となる病原微生物の中でも、肺炎球菌はもっとも高確率で肺炎を引き起こします。肺炎球菌は英語で、 Pneumococcusといいます。そもそも、肺炎球菌は上気道やのどに存在しており、免疫低下や誤嚥によって肺炎が発症しやすくなるのだとか。インフルエンザ罹患後、二次感染した場合の原因菌として知られていますが、これは細胞傷害性の強いウイルスによって気道表面の細胞が破壊され、肺炎球菌などが肺に入ることによって引き起こされます。

肺炎球菌が原因の肺炎では、治療に抗生物質が使用されます。抗生物質がなかった時代の致死率は高く、過去には対症療法が主な治療法でした。世界で初めて抗生物質が発見されたのは1929年のことで、それ以前は肺炎が原因で亡くなる人も多く、ロシアの文豪トルストイも肺炎でなくなりました。現在ではワクチンが開発されているため、肺炎球菌による肺炎の重症化を予防するためにもワクチン接種が重要です。 

  

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