日本の笑いの歴史と世界の笑いの中の日本人

海外でジョークを飛ばすと、「日本人なのに冗談が言えるのか…!」と驚かれて、逆に驚いてしまうことがあります。海外から見た日本人は、真面目で勤勉、綺麗好き。しかし、冗談なんて言わない国民だなんて、見当違いもいいところでしょう。今回は、日本の笑いの歴史と、世界の笑いに登場する日本人の印象についてご紹介します。

日本最古のコメディはフィジカルコメディ?

コメディ(comedy)とは、ひと言でいうと喜劇のことです。オンライン版ケンブリッジ英語辞典によると、「a (type of) film, play, or book that is intentionally funny either in its characters or its action.」と定義されていました。人を笑わせるコメディにはいくつか種類がありますが、言葉の笑い(verbal)と体の笑い(physical)に大きく分けることができます。

古代ギリシアの哲学者であるアリストテレスは、「笑うのは人間の特権である、笑うのは人間だけだ」と述べたといいます。最近の研究では、動物も笑うことが判明していますが、意識的に笑いでコミュニケーションを取ったり、笑いでストレス解消したりするのは、やはり人間に多く見られる行動だといえるのではないでしょうか。

ところで、日本最古のコメディはフィジカルコメディ(physical comedy)だったそう。古事記には、天岩戸に隠れてしまったアマテラスを誘いだすため、アマノウズメが大胆な踊りを披露して、神々を笑わせたと記述されています。

また、世阿弥が記した「風姿花伝」には、秦河勝がものまねを創作して聖徳太子の前で披露したのが、申楽(猿楽)のはじまりだと記載されています。猿楽とはものまねを中心とした滑稽な寸劇のことで、それを演じる職業集団も形成されるようになり、平安時代の都の人々も笑いを楽しんだようです。

日本の言葉の笑いとは?

日本人はフィジカルコメディだけではなく、言葉遊びも好きな民族です。言葉遊びは英語で、 Wordplayといいます。代表的な言葉遊びとして、駄洒落(puns)、早口言葉(tongue twisters)、親父ギャグ(dad jokes)などが挙げられるでしょう。

言葉の笑いといえば、落語も忘れてはなりません。落語を知らない海外の人には、「Rakugo is a form of Japanese verbal entertainment.」と簡単に説明できます。江戸時代に成立したとされている落語ですが、室町時代末期~安土桃山時代に活躍した御伽衆(おとぎしゅう)と呼ばれる人たちが発端になったといわれています。

御伽衆とは、将軍や大名に仕えて雑談や政談相手になった人たちの役職名です。豊臣秀吉はたくさんの御伽衆を抱えていたことで知られていますが、中でも堺で刀の鞘作りをしていた曽呂利新左衛門は、頓智に富んだ人物で狂歌の達人だったといわれています。

落語の定番としては、饅頭こわい、時そば、目黒のさんま、寿限無などが例に挙げられます。これらはほんの一部で、落語の演目は500以上もあるとのこと。こんなにたくさんあると、ネタを覚える落語家さんも大変ですね。

エスニックジョーク(ethnic joke)の中の日本人

ジョークの種類に、エスニックジョークと呼ばれるものがあります。エスニックジョークとは、各国の国民性を誇張して笑いにするものです。民族差別に繋がる場合があるため、ブラックジョークに分類されており、最近ではエスニックジョークをなくそうという働きがあるのだとか。

エスニックジョークの中の日本人は、真面目で勤勉な一方、真面目過ぎて融通が利かず、優柔不断で曖昧、仕事命で上司の命令には絶対に背かず、みんなの意見に左右されやすい国民として描かれています。

日本人のみんながみんな、このような国民性を持っている訳ではありませんが、当たらずといえども遠からずといった印象です。誰が作ったジョークかはわかりませんが、エスニックジョークの中の日本人を知れば、海外から見た日本人の印象がよくわかりとても興味深いでしょう。

  

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