翻訳家の憧れ「戸田奈津子」さんから学べる翻訳への情熱

戸田奈津子さんのお名前は、翻訳業界に身を置いている人ならずとも聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか。翻訳家として、そしてハリウッドスターの通訳として超有名な戸田奈津子さんですが、2022年夏に通訳から引退するとの衝撃的なニュースが駆け巡りました。そこで今回は、戸田奈津子さんから学ぶ、翻訳の仕事で大切なことをご紹介します。

戸田奈津子さんとは?

英語字幕翻訳家としてその名を馳せた戸田奈津子さんは、通訳者としても数多くのハリウッド俳優たちの通訳をこなしたことで知られています。終戦一年後に公開された外国映画に出会ったことがきっかけとなり、映画の世界と翻訳の世界に魅せられました。高校時代には、名画座に足繁く通うほど映画好きな少女だったといいます。

生命保険会社でOL生活を経た後、大学時代から温めていた字幕翻訳家への夢を諦められずにフリーランスの翻訳家に転身。なかなか字幕翻訳家として活躍することは難しかったようですが、1969年製作のフランス映画「野生の少年」で初めて映画の字幕翻訳に携わります。それ以降、年に2,3本のペースで戸田奈津子さんのもとに、字幕翻訳の仕事が舞い込むようになったのだそうです。

1976年、来日したフランシス・フォード・コッポラ監督の通訳を任されたことをきっかけに、戸田奈津子さんは順調にキャリアを築くようになります。なんと監督自身の推薦で、「地獄の黙示録」の日本語字幕を担当することに。この仕事を皮切りに、スティーブン・スピルバーグ監督の「E.T」や「インディ・ジョーンズ」、「スターウォーズ」や「タイタニック」などなど、次々と超大作の字幕翻訳に携わるようになりました。

翻訳の仕事で大切なこととは?

どんな仕事も全力で

戸田奈津子さんが、これまで手掛けた映画は1500本にも上るのだとか。すばらしいキャリアを築き上げた戸田奈津子さんですが、フリーランスの翻訳家になってすぐには字幕翻訳の仕事に携わることができませんでした。化粧品会社や広告代理店の資料を英語にするなど地道に産業翻訳を続け、字幕翻訳家としてスタートするまでにたくさん翻訳の仕事を行ってきたといいます。また、字幕翻訳の仕事を行うようになっても、通訳の仕事依頼をこなさなければなりませんでした。通訳より翻訳が好きだという戸田奈津子さんですが、どんな仕事も全力で行ってきた結果、長年の夢であった字幕翻訳家への道が開けたのではないでしょうか。

日本語の表現力を磨く

戸田奈津子さんの字幕翻訳の特徴といえば、大胆な意訳です。通常の翻訳とは異なり、字数に制限があるからこそ、意訳が必要になるのは当然のこと。意訳をするには、日本語をよく理解していなければなりません。字幕翻訳をするに当たって、「日本語を勉強しなさい」と、戸田奈津子さんはアドバイスしています。翻訳といえば英語をはじめとした、外国語の能力が高くなければ務まらないのはもちろんですが、貧しい日本語力では戸田奈津子さんのように一流の翻訳家になることは難しいでしょう。

夢を諦めない

戸田奈津子さんが字幕翻訳家として成功したのは、40代になってから。大学卒業前から字幕翻訳家に憧れていたことを考えると、じつに約20年もの歳月が過ぎたことになります。現在の機械翻訳の台頭や翻訳案件の単価の低下をみると、翻訳家への夢を諦めてしまいそうになるかもしれません。また、自分の能力に限界を感じたり、自らの翻訳の下手さ加減にうんざりしたりすることもあるでしょう。しかし、翻訳業界の大御所である戸田奈津子さんも、最初は駆け出しフリーランス翻訳家として同じ境遇だったことを考えれば、翻訳家になる夢を諦めずにがんばろうと思えるのではないでしょうか。

  

  

Webで翻訳のサポートは本日より再開致します。本年もさらなるサービス向上に向け、気持ちを新たに取り組んでまいりますので、お気付きのことは何なりとご指導いただければ幸いです。
変わらぬご愛顧のほど心よりお願い申し上げます。

  

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