アメリカではスペイン語翻訳の需要がさらに拡大?

多民族国家であるアメリカでは、英語以外にもさまざまな言語が話されており、その言語数は350以上もあるといいます。それらの言語の中でも、もっとも翻訳需要があるのはスペイン語です。今回は、アメリカのスペイン語翻訳の需要と現状についてご紹介します。

増え続けるスペイン語話者

アメリカ合衆国労働省によると、2014~2024年におけるアメリカの翻訳業界の成長の見込みは約29%で、ほかの職業の平均成長率である9%を大きく上回るものでした。そんなアメリカの翻訳業界で、もっとも需要がある言語とされているのはスペイン語です。

アメリカにスペイン語話者が移民するようになって、400年以上が経過しました。1980年代、アメリカにおけるスペイン語話者の数は1100万人でしたが、2022年のデータによると、スペイン語を話す人は約5400万人。そのうちスペイン語を母語とする人は約4100万人、バイリンガルの人は約1200万人いることが明らかになっています。

スペイン語を話す人が多い国といえば、スペインや南米の国々を思い浮かべるのではないでしょうか?ところが、スペインの人口は約4700万人、コロンビアの人口は約5000万人と、アメリカ国内にいるスペイン語話者の数より人口が少ないようです。現在、スペイン語を話す人がもっとも多い国はメキシコですから、アメリカはメキシコに次いでスペイン語話者が多い国となっています。

アメリカにおけるスペイン語翻訳の需要

英語が公用語のアメリカで、2番目に多く話されているスペイン語。ある調べによると、アメリカでは、人口の13%ほどが家庭でスペイン語を話していることが明らかになりました。米国国勢調査局は、2050年までにアメリカ国内におけるスペイン語話者の数は、現在の3倍以上になると推定しています。 

ハーバード大学の調べでは、スペイン語話者の中に英語を苦手とする人がもっとも多く、アメリカの翻訳・通訳サービスの主要な受益者となっていることが判明。アメリカ企業にとって、増え続けるスペイン語話者は魅力的な消費者層です。そのため、アメリカではスペイン語翻訳の需要がとくに高いことがわかります。

国内のスペイン語話者が増加するにつれ、スペイン語を学習する人も増加しています。アメリカでは、毎年450万人以上の人々がスペイン語を学んでいるのだとか。実際、幼稚園に通う年齢から12歳までの70%、そしてアメリカの大学生の50%がスペイン語を学んでいるといわれています。

しかし、スペイン語を学習しているすべての人が、有能な翻訳者になれる訳ではないようです。また、バイリンガルであったとしても、スペイン語翻訳の仕事に携わることは難しいとされています。スペイン語翻訳に求められる人材は、マーケティングに携わり、文化適応や製品のローカライゼーション、市場調査に精通していなければなりません。

アメリカでスペイン語翻訳の需要が高い地域

スペイン語話者が多い地域は、スペイン語翻訳の需要も自ずと高くなる傾向があります。スペイン語を話す人の数は、住んでいる州によって異なり、極端に少ない地域も存在するといいます。スペイン語を話す人の大半はカリフォルニアやテキサス、フロリダに住んでいるようです。

例えば、テキサス州には約800万人のスペイン語話者が存在しますが、これは州の総人口の約30%が、スペイン語を話していることになります。カリフォルニア州では、州の総人口の28%に当たる約1000万人の人がスペイン語を話しています。ニューメキシコ州もカリフォルニア州と同様、総人口の約28%に当たる約55万人が、スペイン語話者です。

ニューヨークにおいては、スペイン語を話す人が18.2%いると推定されます。一方、スペイン語を話すアメリカ人が最も少ない州は、バーモント州(1,6%)、メイン州(1.4%)、ウエストバージニア州(1.3%)となっています。スペイン語話者は、アメリカ南部に集中しているため、これらの地域では行政や医療における翻訳も必要とされています

  

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