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洋書の「科学の本」おすすめ5選【英語で読む最新の科学読み物】

科学の本と聞くと、退屈な印象を受ける人もいるかもしれません。しかし、さまざまなジャンルの本を読むことで、教養が身に付くだけでなく、幅広い英語のボキャブラリーを学べます。今回は、面白いと海外で評判の英語の科学読み物をご紹介します。

Deep Time: A journey through 4.5 billion years of our planet by Riley Black

著者のライリー・ブラックさんは、長年に渡ってアメリカの科学雑誌「スミソニアン」で古生物学関連の記事を執筆してきた専門家です。本書は、サメが地球上に存在し始めたとされる4億5000万年前から、恐竜の誕生や消滅してしまったヨーロッパの巨大大陸ドッガーランドなど、地球にとって歴史的瞬間となっている事柄をピックアップして解説。天文学や生物学上の重要な発見はもちろん、グランドキャニオンの形成といった地質学においての歴史的瞬間も時系列で取り上げられています。

興味深いのが、サメの歯についての項目です。発見当初、科学者の間ではサメの歯の化石は、蛇の舌が石化したものだと考えられていたのだとか。ところが、1666年になって初めてサメの歯の化石であることが明らかになりました。本書には1668年に解剖学者によって描かれたサメのスケッチをはじめ、白亜紀上期のサメの歯の化石の写真などが収められています。

Life’s Edge: The Search for What It Means to Be Alive by Carl Zimmer

サイエンスライターであり、イェール大学講師でもあるカール・ジンマーさんによる本作は、生と死の境目を明らかにしようという試みが描かれています。わたしたち人間の生と死の境界線ははっきりしていますが、ウィルスやそのほかの生物の生と死は曖昧であることが少なくありません。例えば、クマムシは乾燥させて凍らせてもある条件が整えば、何年でも何十年経っていたとしても生き返ります。また、本作では生命の起源にアプローチするための、化学物質の複雑さを正確に測定しようとする「集合論」と呼ばれる考え方が紹介されており、知的好奇心を刺激してやまない1冊となっています。

Beloved Beasts: Fighting for Life in an Age of Extinction by Michelle Nijhuis

サイエンスジャーナリストのミッシェル・ナイホイスさんによる本作品は、19世紀後半からはじまった自然保護運動の歴史について考察しています。彼女によると、自然保護活動家たちは、「正しい理由のために間違ったことをし、間違った理由のために正しいことをする」こともしばしばなのだとそう。一例として、アメリカの動物学者ウィリアム・テンプル・ホーナデーを挙げることができるでしょう。1886年、ワシントンDCのジオラマ制作のために珍しいバイソンを多数殺した彼は、後にバイソン種の保存として飼育下繁殖プログラムを開始した人物です。ほかにも、愛鳥家のロザリー・エッジや環境問題を告発した生物学者のレイチェル・カーソンなどの物語を紹介し、彼らの失敗と成功を詳細に記して自然保護活動の在り方を問う作品となっています。

Fuzz: When Nature Breaks the Law by Mary Roach

「自然が法を犯すとき」とサブタイトルが付けられた本書は、動物や植物が「法を犯す」事例にどう対処するべきか、専門家たちにインタビューした興味深い本です。「自然が法律を犯すことなんてあるの?」と思うかもしれませんが、インドのゾウが村人を殺害したり、クマが餌を探して家宅侵入したりするケースがあります。本作の中では、世界中で繰り広げられている自然と人間の戦いの記録が記されており、時に笑いながら、時にショックを受けながら読むことができるでしょう。

The Joy of Sweat: The Strange Science of Perspiration by Sarah Everts

サイエンスジャーナリストのサラ・エヴァーツさんによる本作品は、汗を科学的に解説し、その不思議な生理現象の謎に迫るものです。汗は不快なものというイメージがあるためか、『The Joy of Sweat(汗の喜び)』というタイトルを不審に思う人も少なくないかもしれません。しかし、本作を読んで汗の役割を知ると、「もっと汗を掻きたい!」と思わずにはいられないはず。科学読み物として面白い本書は、汗ばむ季節にぴったりの作品となっています。

  

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